2026.01.04
深夜の住宅街を走るときに感じること ― 静かな街の守り手
代行の仕事は、街が眠りについた頃に本番を迎えます。
お客様を送り届けたあと、エンジン音をできるだけ抑えて住宅街をゆっくり走っていると、昼間とはまったく違う景色が広がっていることに気づきます。
玄関の灯りだけが静かに灯っている家。
奥の部屋のテレビの光だけがぼんやり漏れている家。
門灯の影が道路に長く伸びている家。
人の姿はほとんど見えませんが、
そのどの家にも“誰かの生活が確かにある”ことを強く感じます。
その温度のようなものが、深夜の住宅街には漂っています。
この時間帯に走っていると、いつも思います。
代行は“酔った方を運ぶ仕事”ではなく、
“誰かを無事に帰す仕事”なのだと。
事故やトラブルなく、いつもの朝を迎えてもらう。
とても当たり前のことですが、その当たり前を守るために私たちは走っています。
深夜の住宅街には、
眠っている家族の安心、
次の日の仕事に向けた気力、
子どもたちの笑い声の戻る朝――
そういった大切な日常が詰まっています。
だからこそ、できる限り静かに。
スピードを出しすぎないように。
人が見えない時間でも、人の暮らしを尊重する気持ちを忘れないように走っています。
代行ドライバーは、派手なヒーローではありません。
名前を知られることも、記憶に残ることもあまりないかもしれません。
それでも私は、
深夜の街をそっと見守る“静かな街の守り手”でありたいと感じています。
今日もまた誰かの帰り道を安全につなぐために。
街の灯りを照らさず、街の眠りを乱さず。
静かに走り続けます。




